AWSを活用する中で、トラブルや疑問に直面することは避けられません。インフラの障害、設定ミス、料金の疑問など、適切な対応を迅速に行うことがビジネスの継続性を保つ鍵となります
そんなときに頼りになるのが AWSサポート です。しかし、AWSサポートには複数のプランがあり、どのプランを選ぶべきか、どのように問い合わせを行えばよいのかを知らなければ、十分に活用できません。
本記事では、AWSサポートの種類や機能、問い合わせ方法について詳しく解説し、最適なプランの選び方や、効果的な活用方法を紹介します。AWSをより安心して運用するために、ぜひ参考にしてください。
何度も利用したことある人は以下のセクションのみ閲覧お願いします。
はじめに
AWSサポートの起票方法
ページ上部の「?」を押下して「サポートセンター」を選択する

「ケースを作成」を選択する

「アカウントと請求」もしくは「技術」を押下して、「次のステップ:追加情報」を選択する。

「件名」や「説明」を記載してファイル等があればアップロードする。

AWSサポートの種類とプラン
応答時間の目安は<–h>で表現しています。
デベロッパーサポート
AWSの各種サービスを利用した検証やテストを行いたい方向けです。
[1]一般的なガイダンス<24h>及び[2]システム障害<12h>に関する対するQAが可能です。
ビジネスサポート
AWSで本番環境のワークロードを運用している方向けの最小構成です。
[1]一般的なガイダンス<24h>及び[2]システム障害<12h>に関する対するQAが可能です。
加えて、[3]本番システムの障害<4h>、[4]本番システムのダウン<1h>に対処可能です。
また、お客様のユースケースに合わせて対応を受けることが可能です。
Enterprise On-Rampサポート
AWSで本番環境やビジネス上重要なワークロードを運用している方に適した構成
[1]一般的なガイダンス<24h>及び[2]システム障害<12h>に関する対するQAが可能です。
[3]本番システムの障害<4h>、[4]本番システムのダウン<1h>に対処可能です。
加えて、[5]ビジネスクリティカルなシステムのダウン<0.5h>に対応可能です。
また、お客様アプリケーションに基づく年1回のコンサルティングレビューとガイダンスを受けることが出来ます。
エンタープライズサポート
AWSで重要または業務継続に不可欠なワークロードを運用する方向け。
AWSで本番環境やビジネス上重要なワークロードを運用している方に適した構成
[1]一般的なガイダンス<24h>及び[2]システム障害<12h>に関する対するQAが可能です。
[3]本番システムの障害<4h>、[4]本番システムのダウン<1h>に対処可能です。
[5]ビジネスクリティカルなシステムのダウン<0.5h>に対応可能です
加えて、[6]ビジネス/ミッションクリティカルなシステムのダウン<0.25h>に対応可能です。
また、お客様アプリケーションに基づくコンサルティングレビューとガイダンスを受けることが出来ます
AWSサポートの主要な機能とサービス
AWS Trusted Advisorとは?
ベストプラクティスに基づき最適化を支援するチェックとガイダンスを提供してくれます。
主なチェックカテゴリ
コスト最適化:未使用または過剰なリソースを特定し、コスト削減の提案を行う
セキュリティ:IAMの適切な設定や、公開されているS3バケットの検出など、セキュリティリスクを特定
パフォーマンス:EC2やRDSのリソース利用状況を分析し、ボトルネックを発見
耐障害性:バックアップ設定やマルチAZ構成など、可用性の向上をサポート
サービスの制限:AWSの各種サービスの使用上限をチェックし、制限に達しそうなリソースを通知
AWSサポートプランによって利用できるチェック項目が異なり、Business や Enterprise プランでは、より詳細なチェックが可能です。
サポートケースの種類と優先度(質問、障害報告、アカウント管理)
AWSサポートの種類とプランで解説した[1]~[6]を一覧化いたします。
サポートプラン | [1]一般的なガイダンス <24h> | [2]システム障害 <12h> | [3]本番システム障害 <4h> | [4]本番システムダウン <1h> | [5]ビジネスクリティカルダウン <0.5h> | [6]ミッションクリティカルなダウン <0.25h> |
---|---|---|---|---|---|---|
デベロッパーサポート | ✅ | ✅ | ❌ | ❌ | ❌ | ❌ |
ビジネスサポート | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ | ❌ | ❌ |
Enterprise On-Ramp | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ | ❌ |
エンタープライズサポート | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ |
種類 | 内容 |
---|---|
質問 | 仕様や利用方法に関する問い合わせ |
障害報告 | システムのエラーや障害に関する報告 |
アカウント管理 | 請求やアカウント設定に関する問い合わせ |
AWSサポートへの問い合わせ詳細
電話・チャット・メールサポートの違い
AWSサポートでは、サポートプランに応じて電話・チャット・メールのいずれか、または複数の問い合わせ方法が利用可能です。以下に、それぞれの特徴を比較します。
問い合わせ方法 | 対応速度 | メリット | デメリット | 利用可能なサポートプラン |
---|---|---|---|---|
電話 | 最速 | 緊急時に迅速な対応が可能 | 対応時間が長くなる場合がある | ビジネス、Enterprise On-Ramp、エンタープライズ |
チャット | 速い | リアルタイムでやり取り可能 | 複雑な問題には不向き | ビジネス、Enterprise On-Ramp、エンタープライズ |
メール | 標準 | 詳細な情報を整理して送信可能 | 返信に時間がかかる場合がある | デベロッパー、ビジネス、Enterprise On-Ramp、エンタープライズ |
1.電話サポート
Business / Enterprise プランでのみ利用可能
AWSサポートコンソールからリクエストを送ると、AWS側からコールバックがかかってくる(AWSからの発信形式)
2.チャットサポート
問い合わせ履歴が残るため、後で見返すのに便利
細かい要件など自身で提示できていない情報など細かな指示をいただき迅速に課題解決を行える
サポートエンジニアから電話の提案があることもあります。
私も複雑なネットワーク構成を扱っている際、
会議を提案いただき環境の把握、迅速な対応をしていただいた経験があります。
効率的な問い合わせのコツ/注意点(適切な情報の伝え方)
- 問い合わせ前の準備
CloudWatchログやメトリクスを確認し、エラーメッセージや異常な動作がないか把握
問題の再現手順を整理し、AWSサポートに伝えやすくする - 問い合わせ時に伝えるべき情報
問い合わせ時には、以下の情報を明確に記載すると対応がスムーズになります。
☆概要:「どのサービスで、どのような問題が発生しているか」
発生日時:UTCで記載すると正確(例:2025-03-09T12:34:56Z)
影響範囲:システム全体か、一部のリソースのみか
エラーメッセージ:正確に記載(スクリーンショットやログがあると良い)
試した対処方法:すでに試したことを伝える(例:「再起動したが解決しなかった」)
期待する動作:「本来は○○のはずが、××の挙動になっている」
概要の記載方法について
サポート担当者が問題の内容を迅速に理解できるよう、簡潔かつ的確に 記載することが重要です。
特に、「何が・どこで・どのように発生したか」 を明確に伝えることで、スムーズな対応につながります。
また、5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)の観点で情報を整理すると、必要な情報の漏れを防ぐことができます。
<<具体例>>
誤った問い合わせ(×):
EC2に接続すると401エラーが表示され、接続できない。不十分な問い合わせ(△):
2025年3月12日10時5分30秒ごろ、自身の端末(グローバルIP 72.14.201.153)からEC2にSSH接続を試みた際、タイムアウトエラーが発生。適切な問い合わせ(〇):
2025年3月12日10時5分30秒ごろ、自身の端末(グローバルIP 72.14.201.153)からCloudShellを利用して EC2(i-???)にSSH接続を試みた際、タイムアウトエラーが発生。このように、「どのような環境で」「どの手段を使って」発生したかを具体的に記載することで、問題の原因を素早く特定しやすくなります。
記載内容が調査に与える影響
インフラエンジニアであれば上記例題が「CloudShellのグローバルIPがSecurity Groupで許可されていない」ことが原因であると、適切な問い合わせ文[適切な問い合わせ(〇)]からすぐに察することができます。しかし、「△」のような情報しか提供されていない場合、CloudWatch Logsで該当時間帯のログを調査し、グローバルIP 72.14.201.153 に基づいて原因を探す ことになります。その結果、調査が難航する可能性があります。
※AWSのサポートエンジニアは提供された情報をもとに調査を行いますが、適切な情報を最初から正確に伝えること で、対応のスピードを大幅に向上させることができます。
特に、「×」のような曖昧な問い合わせ文では、追加の質問が必要となり、1〜2回のやり取りが発生 するため、迅速な問題解決が難しくなります。
「×」のような問い合わせは避け、必要な情報を明確に伝えるようにしましょう。
まとめ
本記事では、AWSサポートの仕組みや主要な機能、問い合わせ方法について解説しました。
AWSサポートを活用することで、トラブル時に迅速かつ適切な対応を受けることができます。しかし、適切な情報を伝えなければ、問題解決に時間がかかる可能性があります。
本記事で紹介した「効率的な問い合わせのコツ/注意点」を参考に、必要な情報を整理し、スムーズなサポート対応を受けられるようにしましょう。適切な伝え方を心がけることで、AWSサポートをより効果的に活用できます。